この会场内でも彼を知らないものは少ないだろう。
そんな有名人がなぜここに立っているのか。
(バトルファックのバトルの部分だけを、纯粋な戦いだけを求めて俺はここへ来たんだ……)
彼は有名になりすぎたゆえに自由の利かない毎日を过ごしていた。
格闘家としてもタレントとしても、売れ始めは大切な时期だ。
スキャンダルなどもってのほかであり、特に女性関係は洁白でなければならない。
さらに言及するなら、女性関係の洁癖さは自信があった。
彼は童贞である。
言い寄ってくる女性も多かったが、格闘技への感心のほうが高かった。
だが世间のイメージアップと反比例して彼のストレスは跳ね上がる。
若い彼にとって周囲からの抑圧はこの上ない苦痛だった。
谁にも邪魔されない世界で好き放题に暴れてみたい欲求が日に日に膨らむばかり。
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そんな时、彼のもとへ一通の招待状が届いたのだった。
「地下闘技场……そんなバカバカしい组织が実在するなんて」
しかも相手はいかがわしいプロモーター。
试合后は凄惨な罚ゲームが待つといわれているバトルファック。
ファックなどという不纯なものに兴味はない。
だが対戦予定である相手の情报が気になる。
『十戦全胜の総合格闘家 本名?年齢?性别は秘匿 なお过去には……』
その先を読んだ彼は戦慄する。
対戦予定の戦歴に、かつて自分が戦う予定だった强敌が含まれていたからだ。
(あのときはたしか俺の不戦胜。
まさか、ここでの戦いのせいで俺は胜ちを拾わされたのか……)
戦士としてこの上ない屈辱であった。
気づけば招待状を持つ手が震えていた。
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しかし同时にバトルファックについての嫌悪感は吹き飞んでいた。
戦士としての直感がささやく。
强敌を超える强敌が居るであろうこの场所に行けと。
複雑な思いもあるが、彼の心は喜びに打ち震えていた。
しかし彼の目の前にいる対戦者はというと……
「それで试合するの? しないの?」
妙齢の女性だった。
二十代の前半と言われれば信じるし、后半と言われても纳得できるような不思议な雰囲気の持ち主。
金色の髪を一つに束ねた细身の美女だった。
パッチリとした大きくて青い瞳。ぽってりしたツヤツヤの唇。
扇情的な白いレースをあしらったコスチュームとオープンフィンガーの赤いグローブのミスマッチが妙にそそる。
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